検便検査は、食品業界・福祉施設・保育園などで定期的に行われる重要な衛生管理の一環です。もし検査結果が 「陽性」 だった場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
陽性反応が出ても、必ずしも症状があるわけではなく 「健康保菌者(不顕性感染者)」 のケースもあります。しかし、菌を保持している以上、適切な対応をしなければ 食中毒や感染症のリスクを高めてしまう 可能性があります。
この記事では、検便検査で O157・サルモネラ・ノロウイルス などが検出された場合の 対応の流れと職場復帰のポイント を詳しく解説します。
検便検査で陽性になるケース

検便検査では、主に以下の病原体の有無を確認します。
病原体 | 特徴・影響 |
腸管出血性大腸菌(O157・O26・O111など) | 強い感染力・重症化リスクが高い。感染症法の3類感染症。 |
サルモネラ菌(チフス菌・パラチフスA菌含む) | 食中毒の原因。チフス菌・パラチフスA菌は3類感染症に分類。 |
赤痢菌 | 激しい下痢や発熱を引き起こす。3類感染症に分類。 |
ノロウイルス | 強い感染力を持つ。冬季に流行し、食中毒の主要原因となる。 |
これらの細菌やウイルスが検出されると、感染症法や職場の規定に基づいた対応が必要になります。
陽性になった場合の対応フロー

陽性時の基本対応
ステップ | 対応内容 |
①陽性通知 | 職場の担当者に報告。調理・食品取り扱い業務から外れる。 |
②医療機関受診 | 医師の診断を受ける。必要に応じて保健所への報告。 |
③治療・待機 | 抗生剤の処方(必要な場合)。一定期間の自宅待機。 |
④再検査 | 陰性が確認されるまで、検査を繰り返す。 |
⑤職場復帰 | 2回以上の陰性確認が求められる場合が多い。 |
病原体別の具体的な対応
病原体 | 法的規制 | 対応の流れ | 復帰条件 |
腸管出血性大腸菌(O157・O26・O111) | 3類感染症 | ①陽性通知 → ②医療機関受診 → ③自宅待機 → ④抗生剤服用(必要な場合) → ⑤再検査 | 2回以上の陰性確認 |
サルモネラ菌(チフス菌・パラチフスA菌) | 3類感染症 | ①陽性通知 → ②医療機関受診 → ③保健所報告 → ④抗生剤服用 → ⑤再検査 | 2回以上の陰性確認 |
サルモネラ菌(一般型) | 法的規制なし | 職場の規定に従う(食品業界では就業制限あり) | 1~2回の陰性確認 |
赤痢菌 | 3類感染症 | ①陽性通知 → ②医療機関受診 → ③保健所報告 → ④抗生剤服用(必要な場合) → ⑤再検査 | 2回以上の陰性確認 |
ノロウイルス | 法的規制なし | ①陽性通知 → ②自宅待機 → ③1週間経過後、再検査 → ④陰性確認 | 1~2回の陰性確認(職場の規定による) |
注意点
- 3類感染症に分類される病原体は、医療機関受診と保健所報告が義務付けられる
- ノロウイルスは症状がなくなっても排出が続くため、長期間の就業制限が必要な場合がある
職場復帰のポイント

- 復帰には2回以上の陰性確認が必要な場合が多い
- 医療機関・保健所・職場の指示に従うことが最優先
- 復帰後も、手洗いや食品の衛生管理を徹底することが重要
また、食品業界や福祉施設では、検便検査の結果が出るまでの期間も業務を制限するルール を設けていることが多いため、就業規則を確認しておきましょう。
検便陽性時の対応は「冷静に」「確実に」

- 検便検査の「陽性」は、必ずしも発症しているとは限らない
- 食中毒や集団感染を防ぐため、適切な対応が求められる
- O157・赤痢・チフス菌などの「3類感染症」は、法律で就業制限が定められている
- ノロウイルスは症状がなくても排出が続くため、十分な陰性確認が必要
- 職場のルールや保健所の指示に従い、正しく対応することが重要食品業界・福祉施設・保育施設では、感染症予防が非常に重要 です。
万が一陽性となった場合でも、慌てずに対応の流れを確認し、適切な処置を行いましょう!