検便と聞くと、職場や学校の定期健康診断や食品衛生管理の一環として行われるものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
検便は、自分の健康状態を把握し、感染症の拡大を防ぐうえでも重要な検査です。
しかし、実際に検便を行うとなると、「どのように採取すればいいのか」「洋式トイレではどうすればいいのか」「生理中や下痢・腹痛のときはどうするのか」など、さまざまな疑問が浮かぶかもしれません。
そこで本記事では、検便の正しいやり方や注意点について、最近のトピックを交えながら詳しく解説します。
また、生理中や風邪をひいている場合、便がトイレに落ちてしまったときなど、実際に起こりやすいトラブルへの対処法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
検便とは?

検便の目的
検便とは、その名のとおり「便を採取して検査すること」を指します。
具体的には、便に含まれる細菌やウイルスの有無を確認したり、血液が混じっていないか(便潜血検査)を調べることで、腸内環境や病気の兆候を早期に発見するために行われます。
- 食品衛生上の理由
食中毒の原因となる細菌(例:サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌など)の保菌状況を確認し、集団感染を予防するために、食品関連の職場で定期的に検便が行われることがあります。 - 健康診断や人間ドック
便潜血検査を実施することで、大腸ポリープや大腸がんなどの早期発見を目指します。症状がなくても、定期的に検査することでリスクを下げることができます。
検便が行われるシーン
- 職場の定期健康診断
特に食品関連企業や施設では、法律や衛生管理マニュアルに従って検便の実施が義務づけられることがあります。 - 学校や保育施設の集団検診
子どもたちの健康状態を確認するため、一斉に検便を行う場面もあります。 - 医療機関での精密検査
便潜血検査を中心に、下痢や腹痛の原因究明など、診断の一環として検便を行うことがあります。
検便のやり方・手順

基本的な検便の方法
- 専用キットの準備
- 医療機関や検査機関から配布される専用のキット(採便容器、スティックなど)を使用します。
- 検便キットには説明書が付属していることが多いので、使用方法をよく確認しましょう。
- 排便準備
- トイレをあらかじめ清掃しておき、便がトイレの水に直接落ちてしまわないよう工夫が必要です。
- 洋式トイレの場合は、トイレットペーパーや専用の紙製シートを便器の水面に敷いてから排便すると、便が採取しやすくなります。
- 便の採取
- キットに付属のスティックやへらを使って、便の表面と内部から少量を採取します。
- 採取量はキットの指示に従いますが、一般的には「米粒1~2粒分」が目安です。
- スティック:多くの製品はスティック先端に溝があり、そこに便を少量乗せる形式です。
- 容器の取り扱い
- 採取した容器はフタをしっかり閉め、外側に便が付着していないか確認します。
- 直射日光や高温多湿を避け、できるだけ早く医療機関や検査機関に提出します。必要に応じて冷蔵保存を指示される場合もあるので、その際は速やかに対応しましょう。
- 手洗い
- 採便作業後は、石けんと流水で爪の間や手首もしっかり洗うことが大切です。
洋式トイレでの検便やり方
日本では洋式トイレが主流となっており、便が水に直接落下してしまうケースが多くなります。正しく採取するには、以下のポイントを押さえましょう。
- トイレットペーパーを複数枚、水面に敷いてクッションを作る
- 新聞紙や市販の採便用受け皿を使う
- キット付属の紙製シートがある場合は、それを便座の上にセット
検便をスムーズに行うためには、事前の準備が大切です。便がトイレの水に落ちてしまうと、正確な検査ができなくなるため、その便は採取せず、新たに採取し直す必要があります。
採取が難しい場合や対応に迷う場合は、医療機関や検査機関の指示を仰ぐと安心です。
知っておくと検便に役立つことリスト
項目 | 注意点や対処法 |
生理中の検便 | – 血液が混入しないよう注意が必要。 – ナプキンやタンポンを使っていても混入を完全に防げない場合は、医師に相談して日程を変更するか、指示を仰ぐ |
風邪をひいている | – 風邪薬や抗生物質の服用状況が検査結果に影響する場合あり。 – 事前に医療機関や検査機関に確認し、指示に従う |
トイレに便が落ちた | – 水に浸かった便は検体として不適切。 – 取り直しが可能かどうか、日程や再送手段について医療機関や検査機関に相談 |
下痢・腹痛のとき | – 水様便は採取しにくいが、医師の指示で検査が必要な場合は少量を採取。 – 痛みが強いときは無理をせず早めに受診し、必要に応じて日程を再調整 |
採取後の保管方法 | – 指示がない限り常温で置かず、直射日光や高温多湿を避ける。 – 冷蔵庫保管が必要とされる場合は速やかに対応し、できるだけ早く提出 |
採取量の目安 | – キットの指示に従う(多くの場合、米粒1~2粒分)。 – 多すぎると容器が汚染されやすい |
検便時によくあるトラブルや、状況別のポイントをまとめたものです。適切な対処法を知っておくと、余計な不安を抱えずに済みます。
トラブル別の対処法

生理中の検便
生理中の場合、経血が混入すると検査結果の精度に影響が出る可能性があります。生理期間を避けられるなら、日程を調整して後日に変更するのが望ましいです。
どうしても日程を変更できない場合は、検査機関や医師に相談して対策を練りましょう。たとえば「生理用タンポンを使ってできる限り血液の混入を抑える」などのアドバイスが得られることもあります。
※腸内細菌検査(食中毒菌の検査など)の 検便は、生理中でも基本的に影響はありません。
理由:
- 腸内細菌の検査対象は便に含まれる細菌
→ 食中毒菌(O157、サルモネラ、ノロウイルスなど)や腸内フローラのバランスを見る検査では、生理の影響を受けにくい。 - 血液が混入しても検査結果には影響しない
→ 腸内細菌検査は便に含まれる病原菌の有無を確認するため、少量の血液混入があっても細菌検査の結果には影響しない。
風邪をひいている場合
風邪をひいているときの検便の影響について検索する方も多くいます。
風邪薬や抗生物質の服用歴がある場合、検査結果に影響することがあります。基本的には医師の指示に従えば問題ありませんが、疑問があれば事前に問い合わせておくと安心です。
下痢や腹痛のとき
下痢や腹痛の症状があると、採取自体が難しい場合があります。
ただし、下痢や腹痛の原因を探るために、あえて症状が出ている段階で検査を行うケースもあります。水様便でもキットの説明書に沿って少量を採取し、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。
便がトイレに落ちてしまった場合
排便後に便が水面に落ちてしまったケースでは、基本的にその便は検体として使えません。
再度採取が可能かどうか、検査の締め切りに間に合うかなどを考慮し、医療機関や検査機関に連絡して日程調整を行いましょう。
最近のトピック・統計情報

近年、新型コロナウイルス感染症の影響で、人々の健康意識や衛生管理への関心がさらに高まりました。
その結果、食品関連の職場だけでなく、介護施設や保育園などでも従業員やスタッフに対する定期的な検便を推奨する動きが見られます。
厚生労働省が公表する食中毒統計でも、腸内細菌による集団発生が報告されており、早期発見・予防の重要性が再認識されています。
また、在宅勤務の普及により、郵送型の検査キットサービスを利用して自宅で採便し、そのまま検体を送付するといった方法も一般的になってきました。
仕事や育児で忙しい方にとって、より手軽に検査を受けられる環境が整いつつあるのは大きなメリットといえるでしょう。
検便の正しいやり方を理解して、健康管理に活かそう

検便は、食品衛生や集団感染の予防だけでなく、大腸がんなどの重篤な病気の早期発見にもつながる重要な検査です。
例えば、「検便のやり方 洋式」「検便のやり方 簡単」「検便のやり方 スティック」といった具体的な方法を事前に調べておくと、いざというときにスムーズに対応できます。
また、生理中や下痢、風邪を引いているときなどは、必要に応じて医療機関や検査機関に相談すると安心です。
一度大きな感染症が発生してしまうと、多方面に大きな影響が及ぶ可能性があります。定期的な検便を「安全・安心を守るためのステップ」として捉え、早め早めの健康管理を意識してみてはいかがでしょうか。